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執筆者の写真toshiharu honda

令和6年12月定例月議会一般質問/教育大綱の評価と次期計画について

更新日:2024年12月19日

1.教育大綱の評価と次期計画について

 10月に文教厚生常任委員会の行政視察で秋田県大館市の「ふるさとキャリア教育」、山形県遊佐町の「少年議会」を視察させていただきまた。どちらも、地域の人口減少、若い世代の流出等に対する危機感からの取り組みであり、将来のまちづくりの主役を育成、シビックブライドの醸成など未来を見据えた素晴らしい取り組みでした。

 改めて、教育がまちづくり、人づくりの大切な柱の一つであり、未来の市民を育成するための「道しるべ」であると感じたところです。

 根室市における、その「道しるべ」は、教育大綱であると考えますが、この教育大綱の策定は、市長が行うものであり、地域の実情に応じ、教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策として定めるものとされています。

 現行の第2次根室市教育大綱は、令和2年度から5か年間の計画になりますが、この間の計画推進に対する評価、現状の課題認識等、並びに、新たな総合計画の下で策定されるものと思いますが、次期教育大綱について、どの様な計画づくりを検討されているのか、市長、教育長にお伺いいたします。


【市長答弁】

・教育大綱は、法律に基づき、当市の教育振興施策に関する基本的な方向を示すために策定する計画。

・これまで、第9期根室市総合計画に掲げた政策目標「個性を伸ばし豊かな心と感性を育むまち」を基本理念とし、その推進に努めてきた。

・教育大綱においては、「子どもたちが社会に生きる力を育む教育活動の充実」、「市民みんなが学び、高め合える生涯学習の振興」の二つの基本方針を掲げ、教育施策の展開を図ってきた。

・教育施設や教育環境に対する市民満足度が上昇するなど、一定の成果があったものと捉えている。

・次期教育大綱は、現在策定中の第10期総合計画を踏まえ、今後、総合教育会議において、協議、策定を進めていくもの

・子どもたちが故郷への誇りと愛着を持ちながら、世界に視野を広げ、社会を支えていく逞しい人材へと成長するため必要な施策を示し、住み慣れた故郷の豊かさを実感できる教育・文化の振興に繋がる計画づくりに努める。


【教育長答弁】

・就任以来、人口減少社会における根室市のまちづくりを見据え、第二次教育大綱を踏まえながら、持続可能な社会の創り手を育てる学校教育の充実、学校・家庭・地域が連携して子どもを育てる教育環境の充実、市民一人ひとりの生涯にわたる学習活動の充実や歴史・文化への理解とスポーツに親しむための効果的な施策を展開してきた。

・子どもたちが、ふるさとへの誇りと愛着を持ちながら、世界に視野を広げ、社会を支えていく逞しい人材へと育っていくことができるよう取り組んできた。

・具体的には、「持続可能な社会の創り手を育てる学校教育の充実」として、レゴブロック型の資質能力を育成する教育の充実、インクルーシブ教育の推進、特別支援教育の推進体制の強化、AI学習教材等の積極的な活用による主体的な学びの充実、将来を切り開くための資質・能力の育成に向けた取組を進める根室高校への支援拡充など

・児童生徒が自らの自由意志に基づいて、自分なりに学びを深める学習指導の展開、市内四校の義務教育学校の開校や学校施設の老朽化対策など、一人ひとりの個性、能力、適性等に応じて自らの力を伸ばすことができる教育環境の整備を着実に進めてきた。

・加えて、市民が精神的・社会的に幸せや生きがいを感じることができるよう、多様な立場の市民が互いに意見を尊重しながら交流し、受容し合う教育施策を展開,社会教育・生涯学習活動の実と文化・スポーツの振興にも努めてきた。

・しかしながら、少子高齢化による人口減少が急速に進み、社会構造が急速に変化する中にあり、将来の社会を担う人材を育成するためには、子どもたちが根室市に誇りを持ち、様々な課題を自分事として捉えながら、「何ができるか」を主体的に考え、自分自身が関わって根室市の未来を創っていくという意識の醸成が肝要。

・今後は、教師のペースで進める一斉教育指導からの脱却、急速に整備されたICT環境へ対応する情報リテラシー教育の推進、不登校児童生徒への対応などの課題も多くあると認識している。

・長期的な視点を持ち、市長が主宰する総合教育会議において課題解決に向けた方策を協議、次期教育大綱に反映したい。


再質問その1(市長へ)

 次期教育大綱については、第10期総合計画を踏まえ、総合教育会議において、策定作業を行い、子どもたちが故郷への誇りと愛着を持ちながら、世界へ視野を広げ、社会を支えていく逞しい人材へと成長するために必要な施策を示すとのご答弁ですが、この「教育大綱」が未来の市民を育成するための「道しるべ」とも言えるものと考えます。

 就学前、小・中学校、高校過程とそれぞれに解りやすく目標を見える化され、子どもたちが、社会を支えていく逞しい人材へと成長していくために必要な「学びの目標値」、「必要な能力」などを、CS(コミュニティースクール)の推進も含め、市民、企業が関りをもって、未来の市民の育成に取り組む仕組みづくりが重要と考えますので、より分かりやすく、図式化も含め、新しい市民を育てる「道しるべ」を示していただきたい。


市長答弁より  

・図式化の含め、総合教育会議の中で議論・検討する。


再質問その2(教育長へ)

 未来の社会を担う人材の育成には、様々な課題を自分事と捉え主体的に考え、自ら関わりをもってまちの未来を創る、そういった子どもたちの意識の醸成が必要であり、従来型の一斉教育指導からの脱却が必要とご答弁です。

 これからの時代、どの様な能力を身に付けることが求められるのか、計算力や語学力など学力テスト等で数値化できる能力より、目標を成し遂げようとする意欲や自分の感情を抑制する力、コミュニケーション力といった社会に関わる能力がより重視されていますし、根室市のレゴブロック型の考え方、視察した秋田県大館市のふるさとキャリア教育も、この社会に関わる能力を育てるものでした。

 新たな大綱に向け、教育長としては、どの様な長期展望を持たれ、また、課題解決のために必要とされる取り組みを想定されておられるのか、お考えを伺います。


教育長答弁より

・これまで、根室人としての誇りや愛郷心を育む教育、常識や前提にとらわれず多様化する課題に対応する力や多様性を受容し他者と協働する能力の育成に取り組んできた。

・次期教育大綱においても、こうした考え方をベースとしながら、根室を愛し、自信をもって「ふるさと」を語ることができる人を育てる学校教育、社会教育の推進を位置付け取り組む。

 

2.社会を生き抜く確かな学力と学びの環境について

 現行の教育大綱では、未来を担う子どもたちの「社会を生きる力」を育み、ふるさとへの誇りと愛着をもち、社会を支えるたくましい人材へと成長できるように教育活動の充実等を基本理念・方針に位置付けており、子供たちの学力向上についても、ウエルビーニング、レゴブロック型の考え方をもって、現在、取り組まれているものと認識しております。

 学力の指標が偏差値、点数主義ではなくなってきていることは理解しておりますが、現実には、子ども達の将来を見据え、中学、高校過程から都市部への流失(転出)もあります。

 子ども達が目指す様々な職種・仕事(=社会を支えるたくましい人材)に必要な「確かな力」を身に付けることのできる「確かな教育」の提供、学びの環境を地域として補償する必要があると考えますが、現状における地域課題に対する見解も含め、教育長の見解を伺います。


【教育長答弁】

・社会が大きく変容する中、教育は、これまでのように、全員に同じような資質・能力を身につけさせ「社会に求められる人」を育てることではなく、多様な考え方や価値観、文化などを背景とするひとり一人を尊重し、その人の個性や才能を見出したり、引出したり、高めながら「未来社会を生み出せる人」を育てることが重要視される。

・これまで求められた学力の質が変わってきており、多様性を重視した教育・人材育成として、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の実現が求められている。

・高校教育においては、文系理系の枠を超えて学び進路選択できる環境や高校生が大学教育にアクセスできるような環境、大学学においては、高校段階の探究力を養う学びが大学入試でも評価される状況となっており、国立大学においても、多様な学生構成の実現と学部教育の更なる活性化を目指し、学校推薦型選抜を実施するなど、多様な人材確保に取り組んでいるものと認識をしている。

・これらを踏まえ、義務教育段階においては、自ら学び、選択することを重視した教育の推進、高校教育段階においては、北海道根室高等学校教育振興会を通じ、「総合的な探究の時間」で展開される地域巡検などの教育活動への全面的な支援をはじめ、一人一台パソコンの貸与によるICT教育環境の充実市と協定を結ぶ大学との交流事業、更には、高校生による小中学生への出前講座による異学年交流など義務教育から高校教育まで一体となり、求められる学力の向上に資する取組を継続・発展していく考えである。


再質問

 今回の質問は、大館市のふるさとキャリア教育の視察の中で感じた点等を踏まえて組み立てました。ふるさとキャリア教育は、将来地域に必要となる医療人材や教員等その目標に到達できるような学び、戻るための学力を保証する取り組みでもあるとの説明が非常に印象的でした。

 また、ふるさとキャリア教育を支える要でもあるに教職員に対しての、授業表彰制度、特に、各段の授業力を有する職員を認定授業マイスターとそのマイスターとなった先生の授業を先生方が見学できるキャリアアップの仕組みも参考になりました。

 改めて伺いたいのは、地域の子どもたちが目指す職種・仕事に必要な学びは、その到達点もふくめ様々なわけですが、「求められる学力の向上(このこと自体の変化もある中で)」のため、根室市としては、どの様な学びの環境整備をすすめるのか、それを支える教職員のキャリアアップも重要なテーマの一つと考えますが、教育長の見解を伺います。


教育長答弁

教職員の資質能力の向上について

・20台の教員の占める割合は、根室管内全体の34.6%に対し、根室市は47.0%と管内で最も高くなっている。

・こうした若年層が多い状況では、経験不足による指導力の課題などもあるが、反面、柔軟な発想と新たな教育手法を導入するなど、失敗を恐れず、意欲的で挑戦的な教育実践に取り組むことができるという良い面もある。

・教育員会としては、このメリットを最大限に生かすことができるよう、教員同士が学校の枠を超え、互いの授業を視察・研究する相互交流等を促し、教職員の更なるキャリアアップを図りつつ、求められる学力の向上に取り組む。

 

3. 教育環境整備充実のための施設整備について

 新総合体育館をはじめ、学校施設の統廃合等に伴う増改築・取壊し、更には、総合文化会館の改修、給食センターの整備等々多くの施設整備が予定されており、これまでも多額の財政投資が必要となる教育委員会所管の各施設整備に関しては、計画的な整備と明確な財源対策をもって事業推進に努めるべきと述べてきました。

 教育大綱においても、教育環境の整備として計画的な学校施設整備の推進、生涯学習活動の推進として生越の充実、スポーツ活動の推進として総合体育館の建設等環境整備等の整備推進が示されておりますので、総合計画、グランドデザイン、公共施設等総合管理計画との整合性をもって、教育大綱の下、仮称ですが「教育関連施設整備計画」の様な、教育環境整備充実に必要な施設整備計画を、市長がまちづくり推進の視点から策定、その推進を教育委員会が担う様な手法の検討も必要と考えますが、石垣市長のお考えを伺います。


【市長答弁】

・教育関連施設を含む、全ての公共施設のおよその整備時期や方針については、公共施設等総合管理計画における個別計画で示しており、これをひとつの目安として計画的な取り組みを進めている。

・日本全体で人口減少が加速する中において地方自治体が生き残る唯一の活路は未来への投資だと考えます。

・次世代に渡すべきは、「不安」ではなく、「希望」であります。

・その意味において、教育関連予算については、しっかりと将来を見据え、計画性をもってソフト・ハードの両面において予算配分を考えるべきだという想いであります。

・本年度、公共施設等総合管理計画の策定から10年が経過し、来年度においてPDCAサイクルを踏まえた、1期10年の検証と、第2期以降のアップデートを行うこととしている。

・この度、議員から提案のあった、教育関連施設に限定した計画策定については貴重な意見として受け止めつつ、まずは、個別計画そのものの精度を高め、改めて、示したい。


市内西浜町の柏陵中学校に総合、義務教育学校として整備予定の北斗学校(跡地は移住体験村に)

意見等として

 教育財産である施設の管理ですから、これまで教育長に質問をしていましたが、教育大綱の中でも、施設整備が掲げられており、その策定は、市長の役割であり、公共施設全体の管理、そして、まちづくりの推進のかじ取りは、市長の役目です、予算措置も市長の権限になりますので、教育関連施設の整備について、将来的な財政負担の見通し等を見据えて、教育委員会が進める取り組みを、しっかり支える枠組みが必要であり、今回、教育関連施設に限定した計画策定を提案したものです。

 過去には、教育委員会にも施設管理の技術職が配置されていいましたが、現在は、建設水道部が担当、教育委員会単独では対応できない状況です。

 まちづくり、持続可能な財政運営推進の観点からも、教育関連施設の整備に関する計画を策定され、教育環境充実のためのハード面の見通しを示し、その精度を高める必要があるものと考えます。教育関連施設整備計画の策定も含め検討を!

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