4.足腰の強い産業・経済基盤の確保への取り組みについて
4-1 漁業生産量の増大を最重要課題と位置付ける水産業の振興について
【質問】
水産業の振興については、国際漁業の権益の堅持、沿岸漁業資源の維持・増大、海面・陸上養殖への取り組み等つくり育てる漁業の定着化と持続可能な漁業生産体制の構築を重点施策とされ、沿岸漁業資源利活用ビジョンの実現、また、新たな沿岸漁業振興計画の策定に着手するとしておりますが、これまでの取り組みをどの様に評価されているのか、気候変動等の影響等課題認識も含め、新年度以降の水産業の振興に対するお考えについて、市長の見解を伺います。
また、水揚げされた根室産魚介類の販路拡大やブランド力の確立への取り組みも主要施策として掲げておりますが、これまでの取り組みに対する評価・課題認識、並びに、今後の取り組みに対するビジョン等について、市長のお考えを伺いたい。
【答弁】
(水産業の振興について)
・当市水産業は、近年の漁獲不振を背景に漁業や水産加工業はもとより、運輸・燃油業等の関連産業においても大変厳しい状況にあることから、漁業生産量の維持・増大を最重要課題と捉え、これまで、「根室市沿岸漁業振興計画」に基づき、資源管理型漁業や栽培漁業を着実に推進してきた結果、沿岸生産量については、増加傾向で推移していると認識している。
・こうした中、令和4年度には、新たに「陸上養殖研究促進支援補助金」を創設し、陸上養殖研究にチャレンジし易い環境を整備した。
・令和5年度には、「トラウトサーモン養殖実証試験」に取り組むなど、安定かつ持続可能な水産業の構築に向けた取組みを積極的に推進してきた。
・令和6年度は、新たに「陸上養殖研究開発事業」に着手するほか令和7年度から始まる新たな「沿岸漁業振興計画」の策定に着手する。
・今後においても、中長期の視点に立った資源管理やつくり育てる漁業のさらなる推進により、持続可能な漁業を目指すことはもとより、水産業が将来にわたり魅力ある産業となるよう引き続き、国や北海道をはじめ漁協・水産関係団体等と連携し取り組む。
根室市栽培漁業研究センター 2020/3月完成
(根室産水産物の販路拡大に向けた取り組みなどの評価と今後について)
・これまで、「ねむろ水産物普及推進協議会」の活動を通じて、道内外における根室産水産物のPRや販促活動をはじめ市内事業者の商談会等への出展支援や全国の企業と商業ベースで直接繋ぐビジネスマッチング事業などの取り組みを強化してきた。
・道庁赤レンガ前広場で開催の「まるごと根室直送市」や、1月、東京新宿駅西口広場で開催した「北海道根室まるごとフェア」においては、「来場者数」「売上」共に過去最高を記録すると同時に、リピーターの数も圧倒的に増加しており、これまで市内事業者と一体となり、地道に取り組んできた成果として、「産地根室」ブランドの認知度が着実に高まりを見せていると評価している。
・また、近年の主要魚種の不漁を背景に、加工原料不足に伴う事業縮小等が懸念されていたが、こうしたピンチを千載一遇のチャンスと捉え、他社との差別化を図るべく魚種転換や低未利用魚種を有効活用した新商品開発に励む事業者が多く現れ、水産加工振興センターにおいても商品開発へ向けた個別相談や技術指導を求める利用者が増加傾向にあるなど、将来を見据えた意識改革が進んでいると認識している。
・今後も、事業者の持続的な成長を促すと共に、全国屈指の「水産都市・根室」として、引き続き、新鮮かつ良質な根室産水産物を広く全国にPRするなど、認知度向上に資する取り組みを積極的に展開する。
4-2 商工業の振興と企業誘致について
【質問】
人口減少に伴う生産年齢人口の減少による人手不足問題が深刻化、更には、商店街の空洞化の問題もあり、商工業を取り巻く環境は厳しさをましており、人材育成と雇用安定化の促進への取り組み、地元での消費拡大、商店街のにぎわい創出等について、商工会議所等経済界との連携のもと、新たな施策の展開への取り組みが必要と考えます。
市政方針で示された商工業の振興については、新規事業の創出支援、資格取得支援、奨学金返済支援、更には、新年度実施する社宅建設等支援補助制度等人材確保のための施策が中心ですが、消費拡大のための取り組み、更には、賑わい創出のための環境改善等への取り組みも重要であると考えます。
そこで、商工業の現状認識と振興施策の在り方について市長の見解を伺います。
また、商工業の振興のためには、企業誘致への取り組みも重要なテーマと考えます。根室市企業立地促進条例が制定されていますが、この条例に基づき、どの様な企業誘致・立地促進対策を展開されているのか中々見えてきません。
条例では、助成対象業種を、製造業、情報通信業、学術研究、旅館・ホテル宿泊業、運輸業・卸売業、助成対象施設は、工場、情報サービス業関連施設、試験研究施設、宿泊施設、物流施設と位置付けていますが、それぞれ、より具体的な誘致目的や根室市として求める機能や経済的効果等を見える化する作業が必要と考えます。
市独自の補助制度等による優遇措置の周知と活用に努め、誘致実現に向け積極に取り組むとのお考えですが、これまでの取り組みもふくめ、具体的にどの様な誘致施策の展開を想定されているのか、お考えを伺います。
【答弁】
(商工業の振興について)
・当市では、長年続く人口減少や、近隣市町への購買力の流出等に加え、コロナ禍の影響により、生活必需品へのニーズの高まりや、ネットショップの利用増など消費者の生活様式や購買行動の変化も加わり、市内の商工業を取り巻く環境は、依然として厳しい状況にあると認識している。
・また、緑町をはじめとする商業店舗が集積する中心市街地においては、空き地が増加傾向にあり、商店街の賑わい創出が課題であると認識している。
・市としては、これまで商店街活性化支援補助をはじめ、地域ポイントカードに対する行政ポイント付与や、中小企業創業等支援補助などに取組んできた。
・今後もこれらを継続するとともに、根室商工会議所等との連携はもとより、根室市中心市街地活性化推進協議会や根室市中小企業振興審議会での議論を踏まえながら、商工業振興に向けた施策を検討し、実行する。
(企業誘致について)
・企業誘致の基本的な考え方として、1つ目に産業機能の不足している、あるいは欠けているもの、2つ目に本市の産業機能を補完できるもの、3つ目に本市の地域振興に繋がるものとしている。
・また、根室市企業立地促進条例を制定し本市の基幹産業である漁業や農業、水産加工業等の流通を支える物流施設、市内に不足をしている宿泊施設など6つの事業所等を対象として、企業が進出しやすい環境整備を図った。
・現在、観光のハイシーズンは、市内宿泊施設不足の状況にあることから、産業機能の不足している分野として、宿泊施設誘致の取組みを進めている。
・なお、企業誘致に取組んできた結果、様々なチャンネルから根室市での事業展開に興味を示す企業情報が入ってくることもあり、こうした機会を的確に捉えながら、企業誘致の基本的な考え方に沿い、対象企業の掘り起こしにも努め、誘致に取り組む。
※意見等として(質疑はしてません)
中心市街地の空き地の問題、商店街の賑わい創出は、ご答弁のとおり、大変重要な課題であり、危機感をもち、積極的に取り組む必要がると考えますし、これまでも述べてきましたが、石垣市長には、その先頭に立っていただき、更には、公共施設グランドデザイン構想第4章民間起点に基づく賑わいづくり【連携】の具現化を含め、経済界との連携のもと、新たな組織を立ち上げ、検討作業に早急に取り組んでいただきたいと考えます。
4-3 持続可能な観光振興施策への取り組みについて
【質問】
観光振興については、国内外からの観光客増加に向けた効果的なプロモーションの展開、その受入れ環境の整備推進等具体的な施策が掲げられています。
観光振興の推進のためには、地域課題の整理や時間軸をもった解決策への取り組みが必要であり、観光振興を推進するための組織・会議の設置、観光振興推進組織の更なる強化策として観光地域づくり法人(DMO)化への取り組みも重要なテーマと考えますが、市長のお考えを伺います。
また、「住んでよし、暮らしてよし」の観光地域づくりを実現するためには、観光客と市民の双方に配慮し、多面的かつ客観的なデータ計測と中長期的な計画に基づく総合的な観光地マネジメントが重要とされ、観光庁から「持続可能な観光ガイドライン」が示されていますので、このガイドラインの活用なども含め、組織的に、観光振興に取り組む必要があると考えますが、持続可能な観桜振興施策への取り組みに対する、見解を伺います。
【答弁】
・DMOは、地域経営の視点に立った観光地域づくりの司令塔として、観光戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人です。
・根室市観光振興計画では、観光振興を推進する体制づくりとして、既存の観光推進組織を軸としつつ、日本版DMO等の新しい観光推進組織の事例を参考にしながら、組織のあり方を検討する事としており、DMO設立の成功例、失敗例も含めて、運営を担うことになる観光関連事業者や市観光協会等の関係団体と情報を共有し、検討を進めていく必要があると考えている。
・また、観光庁の発行する日本版持続可能な観光ガイドラインは、国際基準に準拠した指標であることから、市観光協会等の関係団体とともに観光客だけではなく地域住民や地域の文化・環境に配慮した持続可能な観光地域づくりに向けて、まずは、国際的に何が求められているのか、この地域に何が足りないのかなど確認するツールとして活用したい。
※意見等として(質疑はしていません)
観光振興に関しては、情報発信力の強化も重要なテーマと考えます。
これまでもプロモーション動画制作、YouTubeでの配信、更には、インフルエンサーによる情報発信等にも取り組まれていますが、持続可能な観光振興施策の展開として、発信情報のマネジメントや発信情報の制作から配信等をコントロールする人材の育成確保も含め、更なる情報発信力強化への取り組みも重要なテーマと考えます。
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