6. 教育行政について
6-1 ウェルビーイングの向上を目指す教育と学力向上について
【質問】
※ウェルビーイングは個人や社会の良い状態(社会的、経済的、環境的)
多様な個人それぞれが幸せや生きがいを感じるとともに、地域や社会が幸せや豊かさを感じられるようにするための「ウェルビーイングの向上を目指す教育」が求められているとのことですが、教育現場におけるウェルビーイングについて、根室市としては、どの様に位置付けておられるのか、また、今後の学校教育において、個人のウェルビーイングと社会のウェルビーイングの2つの実現が求めれるという記述もありますが、根室市としては、どの様な整理、あるいは、その価値観の測定を考えておられるのか、教育長の見解を伺います。
また、ウエルビーニングの考え方も含め、根室市が目指すレゴブロック型の資質能力を育成する教育は、個々一人ひとりに相応しい学び方を自ら選択、知識及び技能や思考力・判断力・表現力等学びに向かう力・人間性等の資質・能力の育成に取り組むという、この取り組みが、市全体の学力向上にどの様に繋がっていくのか、更には、指導方法についてもレゴブロック型、個々一人ひとりに寄り添うシステムとなっている中、学力向上に向けて、どの様に組み入れているのか、状況についても伺います。
【答弁】
(ウェルビーイングについて)
・ 2023年6月に閣議決定された「第四期教育振興計画」に「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」という理念が位置づけられ、その説明として「多様な個人それぞれが幸せや生きがいを感じるとともに、地域や社会が幸せや豊かさを感じられるものとなるための教育の在り方」として示されている。
・個人の幸せや生きがいを感じられるためには、ただ自分の好きなことや得意なことをやっている時だけではなく、自分の考えや価値観、創り上げたものや為し遂げたことなどが他人に受け入れられ、承認された時に幸福感は高まるものと考える。
・こうした多様な個人それぞれがウェルビーイングを高めながら、他者を尊重しつつ協働していくことにより、誰一人置き去りにしない持続可能な社会が実現し、地域や社会のウェルビーイングも高まっていくものと考える。
・その評価・検証を行っていく上では、全国学力・学習状況調査の質問紙調査において設定されている自尊心や自己肯定感を測定する項目や、社会教育事業等の事後におこなう各種アンケート、市長部局が行っている市民意識調査等が参考になるものと考えている。
(学力向上に向けての考え方について)
・ウェルビーイングは、多様な個人それぞれが、自分の選択や判断、実行、評価が尊重されるとともに、他者に許容され協働へと結びついていく中で高まっていくものと考えており、この点において、自ら課題や学習の進め方、学ぶ場など選択していく中で培われるレゴブロック型の資質・能力の育成と軌を一にしているものと考える。
・全国の中には、「ウェルビーイング」と打ち出してはいないものの、その理念を取り入れた学校経営を進めている学校がある。
・例えば、障がいのある子どももない子どもも、あるがままに受け止めた教育を進めている「大阪市立大空小学校」、定期テストや宿題を廃止した、東京都「千代田区立麹町中学校」、日本初の公立イエナプラン推進校として認定され広島県「福山市立ともに学園」などがある。
・これらの先進校においては何れも学力向上に大きな成果を上げており、根室市立学校においても、この先進事例に学びつつ、ウェルビーイングの向上を目指しレゴブロック型の資質・能力の育成に努める。
インクルーシブ教育実践校である花咲港小学校
6-2 根室市学校教育情報化推進計画について
【質問】
教育の情報化については「全国学力・学習状況調査」のオンライン実施、デジタル教科書の本格導入など、国の動向を注視しつつ「根室市学校教育情報化推進計画」を作成するとのことですが、従前は、根室市情報開計画に基づき作成していたもの認識しております。
今回の計画はどの様な位置づけとなるのか、OA機器の整備に関しては、パソコンの活用、タブレットの更新等々計画推進のための予算措置・財源対策も重要なテーマですが、どの様に盛り込む考えなのかを含め、伺いまいます。
また、GIGAスクール構想等の前倒しにより、一気にICTが進みましたが、教職員のICTスキルや児童生徒の利用状況等をどの様に評価されているのか、課題認識も含め、見解を伺います。
【答弁】
(根室市学校教育情報化推進計画について)
・現計画の策定段階においては、児童生徒の学習端末が未整備の状態であり、根室市情報化計画で掲げる各種システムの導入、機器の整備・更新の状況等も踏まえながら、児童生徒4.5人に1台、教職員用端末の245台、大型テレビ57台等の機器整備に向けた数値目標などを掲げ、計画的に進めてきた。
・コロナ禍にあって、国のGIGAスクール構想の前倒しによる一人一台端末の実現など、教育におけるICT環境の整備が急速に進み、ICT機器整備の段階から活用段階に進んできた。
・国が令和4年度に策定した「学校教育情報化推進計画」においては、全国的に環境が整備されたことを踏まえ、「ICTを活用した児童生徒の資質・能力の育成」、「教職員のICT活用指導力の向上と人材の確保」、「ICTを活用するための環境の整備」、「ICT推進制の整備と校務の改善」の4つの基本方針を示し、大綱的な内容となっており、このことは時々刻々と深化する情報化技術の進展に柔軟に対応できるようにしたものと受け止めている。
・こうした国の計画や、昨年10月に策定された「北海道学校教育情報化推進計画」また、「第三次根室市地域情報化計画」を踏まえ、根室市教育情報化推進計画の策定にあたっては、急速に変化する社会に対応できるよう、策定作業を進めていく。
(教職員のICTスキルや児童生徒の利用状況等の評価について)
・教職員のICT活用指導力の向上に当たっては、国の令和4年度、学校における教育の情報化の実態等に関する調査では「授業にICTを活用して指導することが『できる』『ややできる』」と回答した教員の割合は、根室市で92.8%であり、全国78.1%、全道78.8%と比較して上回っている。
・児童生徒においては令和5年度の全国学力・学習状況調査の質問紙調査において「学校の中でPC・タブレット端末などのICT機器を使うのは役に立つと思うか」、また、学校以外でのICT機器の活用に関する質問に対して、肯定的に回答した児童生徒の割合も全国・全道平均を上回り、学校での指導のほか、タブレット端末の持ち帰りによる家庭学習などの取組みにより、ICT端末活用の理解が深められたものと捉えている。
・しかしながら、学習課題すべての解決に繋がっていないことから、引き続き、創造性を喚起して課題を解決し新しいものを創り出すプログラミング的思考の醸成に向けたAI学習教材などの積極的な活用、また、対応する教員のICT活用指導力向上に向けた研修機会の確保や子ども達のネットモラル教育の充実などを通して、引き続き、学びを深められる環境の充実に努めたい。
6-3 人口減少を見据えた適正配置計画と教育施設の整備について
【質問】
人口減少、出生者の動向から、各学校区内の児童生徒の動向把握が一定程度はできますので、令和6年度から令和10年度までの5か年間を計画期間とする新たな「適正配置計画(案)」は、この動向を踏まえたものと認識しております。
はじめにどの様な分析等を経て今回の適正配置計画を取りまとめたのか、伺います。
また、現行計画で進められてきた厚床小中学校、おちいし義務教育学校の校舎・屋体の整備が続くなか、新たな計画として、老朽化著しい北斗小学校の柏陵中学校との併置校化、市街地への義務教育制度の導入に関する基本設計に着手する旨、教育行政方針として提案されています。
現在進行中の事業を含め、新たな適正配置計画期間中、どの程度の予算規模を想定されているのか、また、市街地への義務教育制度の導入、北斗小学校の柏陵中学校への併置に関しての市民コンセンサスはどの様にとられるのか、今後の推進手順等について、教育長のお考えを伺います。
【答弁】
(適正配置計画案策定に係る分析について)
・教育委員会では、当市の地理的条件や地域ごとの特色、学校現場の状況等を踏まえ、将来の人づくり・まちづくりにつながる学校教育環境の向上を目指すとともに、少子化に対応した活力ある学校づくりを目指すことを目的として、この度、市立学校適正配置計画案を策定中。
・現在、校区毎の「保護者・地域住民等への説明会」を開催しており、今のところ出席者からは、計画内容に対し、概ね肯定的なご意見等をいただいている。
・計画案策定に際しては、各校区における出生数に基づき、令和10年度までの児童・生徒数及び学級数を推計し、5年後の教育環境や地域において学校が果たす役割等を見据え、「①適正配置」「②コミュニティ・スクール」それぞれについて、将来的に目指す姿を記載した。
(教育施設の整備について)
・新たな適正配置計画は、現行計画の進捗状況を踏まえつつ、市長部局が策定する「根室市公共施設グランドデザイン構想」との整合性を図りながら、各学校や中学校区単位で組織するコミュニティ・スクールなどが取り組んでいる各地区の特色を生かした教育活動の実施状況の把握、また、保護者や地域の意向も踏まえて、策定してきた。
・北斗小学校の整備にあたっては、市の公共施設グランドデザイン構想の中で、約30億円の事業費が見込まれている。
・今後、学校、コミュニティ・スクール関係者、教職員などで整備検討委員会を組織し、先進的な学校の視察、加えて、児童・生徒などからの意見聴取を行うなど、地域と協働しながら、多様な支援を取り入れ、市民に開かれた学校づくりに努める。
6-4 コミュニティスクール、部活動の地域移行等への取り組みと市民参加の仕組みづくりについて
【質問】
今回取りまとめられた適正配置計画には、中学校区単位のコミュニティスクールの活動目標、地域と一体となった教育活動の在り方が示されています。また、教員の働き方改革などを踏まえた「部活動の地域移行」についても教育行政方針で述べられております。
市民が協力する仕組みづくりを推進するためには、参加する市民が、新しい今の教育の考え方を理解することが必要であり、市民が学び、参加する仕組みづくりを早急に検討すべきと考えます。また、どの競技、分野の部活動の地域移行が可能なのかを含め、スキルをもった市民皆さんと、しっかり協議・検討を進めていいただきたいと思います。
改めて、コミュニティスクール、部活動の地域移行等に関する市民参加型の取り組みの在り方について、教育長の見解を伺います。
【答弁】
・学校と地域が一体となって、将来の根室を担う子ども達を育てるための学校運営協議会制度、いわゆるコミュニティ・スクールについては、学校が「目指す子ども像」を地域と共有し、その実現に向けて、地域の人々が貢献できることなどを協議、実践することが重要です。
・また、部活動の地域移行については、部活動の在り方を見直し、学校と地域の連携、地域で子ども達が活動できる環境の整備等により、持続可能で豊かなスポーツ・文化芸術環境を再構築することを目指すものであり、教員の働き方改革なども踏まえながら、その仕組みづくり、指導者や活動場所の確保など学校や地域のスポーツ・文化団体等とも協議・検討を進めて行く必要があるものと認識している。
・学校と地域が一体となって子どもたちの成長を支える取組への参画にあたっては、子どもも大人も地域課題に向き合う当事者意識の醸成が最も重要であり、市民が学び、参加する仕組みづくりについて、来年度策定する次期総合計画や社会教育計画の中に位置づけたい。
※意見等として
学校・家庭・地域の連携‣協働の推進による地域の教育力の向上が教育施策の目標の一つとして新たな教育振興基本計画にも掲げられており、ウェルビーイングの考え方にもつながりますので、是非、部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行に向けた取り組みの協議・検討を進め、地域の連携・協働を実現していただきたい。
社会教育計画の中に位置付け検討とのことですが、そのスピード感で良いのか?
教員の働か方改革も踏まえた仕組みづくりならば、教育行政方針に基づき、段階的な移行のための手順整理、その協議・検討を進めるためには、理念や思いを盛り込んだ具体的な制度設計づくりが必要ですので、教育委員会で素案を作られ等準備作業を進められても良いものと考えます。
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