8. 市立根室病院の診療体制と病院経営について
(1) 医療体制の課題と今後の診療への影響について
【質問】
市立病院が「市民が安心して暮らせ、心の支えとなる病院」であるためにも、医療従事者の確保対策は重要なテーマであり、地域の医療の在るべき姿をしっかり示し、その中核を担う市立病院の診療体制確保等諸施策への取組みが必要です。
昨年10月の定例月議会で医療従事者の体制を取り上げた際、看護師確保対策が大変厳し状況との説明がり、病床を閉鎖せざるを得ない状況と聞き、患者サービス、病院経営の両面から危機感を持ったところです。
新年度に向けて、どの様な体制・職員配置を想定されているのか、看護師不足に伴う病棟閉鎖の解除の条件やその見通し、並びに、この様な状況が続く中での経営への影響、更には、策定作業に入る「公立病院経営強化プラン」の中で、この問題をどの様に整理され、取りまとめをされるのか、見解を伺います。
【答弁】
現在、市立病院では、看護師不足などの影響により、一般病床を縮小して運営しており、新年度新規採用予定の看護師8名を加えても、夜勤可能な職員は、目標の120名に対し、40名程度の不足が続く見通しである。
このため4月以降は、最大2病棟・107床の運営で院内協議を進めておりますが、従前の3病棟・135床に戻すためには、最低でも20名程度の看護師補充が必要と考えており、経営面への影響も含め、これらの状況等を見極めながら、今後策定の「公立病院経営強化プラン」において整理したいと考えている。
【再質問1】
135床すべての病床を稼働させるためには、20名程度の看護師の補充が必要とのことですが、定年退職者だけはなく、若年層、更には、中堅クラスの看護師の退職もあるようですので、135床再稼働までには相当な期間を要することになるものと考えますが、現時点、どの様な、課題認識を持たれておられるのか、また、解消までどの程度の期間を想定されているのか、見解を伺います。
【部長答弁1】
病院運営には、医師はもとより、看護師などの医療従事者が不可欠であり、現在、新病院開院後では、最も深刻な看護師不足に直面している状況。
ここ数年、特に若年層の看護の離職が目立っているが、その理由は、様々であり、当然、コロナ禍における疲弊もあるものと考えている。
毎年、一定程度の新規採用者は確保できていいますが、自己都合退職者が増加している状況を踏まえると、135床の再稼働には、相当の期間を要するものと考えている。
【再質問2】
新たな看護師確保対策の支援制度の提案もりますので、その中身については、予算審査の中での議論になろうかと思いますが、医療従事者を外部から募集するためには、住環境の整備(ICT環境も含め)ですとか、採用後の研修、或いは、全体に言えることですが、働きやすい環境づくり、その声の通りやすく実現する体制づくり等々、院内あげて、特に、若い世代の声がとおりやすい環境づくり(今あるすれば、それ以上の)等への取り組みが急務と考えます、改めて、現状認識も含め、見解を伺います。
【部長答弁2】
昨年、院内で「働きやすい環境整備に向けたアンケート調査」を実施した。
職員からはハード・ソフトの両面で様々意見がだされた。
これらの意見については、病院改革プロジェックト会議で優先順位を議論し、昨年12月補正予算において、救急外来前の入り口への庇(ひさし)設置に向けた費用、新年度予算においては、職員駐車場の照明設備増設費用を計上したところであり、今後も、プロジェクト会議を中心に検討を進めながら、働きやすい環境整備推進に努める。
(2)病院の経営状況と一般会計繰出金に対する基本姿勢について
【質問】
コロナ禍において、感染症病床の確保、更には、入院・外来患者の制限等により、患者数が落ち込み、医業収益にも大きな影響があったものと考えますが、一方で、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業補助金により6億円近い財源補てんがあり、交付税措置の拡充等も含めで減収分がカバーされています。
この様な状況も踏まえつつ、新年度の経営見通し、資本的収支には8億円を超える医療機器具整備事業も組み込まれており、診療機能充実への取組みの見通し、これらを踏まえた、一般会計からの繰出金に対する繰出基準とその財源対策に対する、市長のお考えを伺います。
【答弁】
市立病院においては、新型コロナウイルス感染症患者の影響から、本年1月末までの入院、外来収益は当初予算対比で約1億2,400万円の減となっており、早期の患者回帰は見込めないこと、 また国は、本年5月8日以降、病床確保料などの支援策を段階的に見直すとの方針を示しているため、新年度も当院を取り巻く経営環境は、大変厳しい状況が続くものと認識いたしている。
一方、当院は建設から約10年が経過した中で、良質な医療サービスを提供する観点から、新年度は医療情報システムや医療機器の更新について、財源対策上有利な過疎債等を活用することで、負担の平準化に努めたところであり、今後も計画的に機器更新を行う考えである。
また、市立病院が地域の中核病院として、将来にわたり安定的な医療提供を継続して行うため、収支均衡分も含め、病院事業に対する繰出金は必要と考えており、これらの主な財源については、市民皆様が安心して医療を受けることができる体制の維持や、地域医療の安定化に資することが最優先と考え、ふるさと応援・地域医療安定化基金の活用を図っているところである。
【再質問】
コロナ禍でこの3か年間は大変厳しい診療体制であり、見えない新型コロナウイルスとの戦いは大変であったと思いますし、病院経営の優先順位も感染症対策への対応対策が最優先あったものと考えます。
そうした状況下で、看護師不足による病床閉鎖、更には、ご答弁がありましとおり、新築後10か年が経過する中での、医療情報システムや医療機器の更新が必要となり、一般会計繰出金は圧縮できず、中期財政収支試算においても、今後も20億近い繰出金が想定されています。
この具体的な改善策は、「公立病院経営強化プラン」の策定を待たざるを得ませんが、繰出金に対する基準の再精査と、併せて、活用する財源のあり方、もっと言えば、ふるさと応援寄付金(地域医療安定化基金)の活用範囲、一般財源を充当すべき繰出項目のルール化などを、事前に検討し、計画策定に反映すべきと考えますが、見解を伺います。
【答弁】
令和6年度以降も19億円を超える繰出金を見込んでいる。
コロナ禍による影響が未だ回復していいない中、医療人材の不足に伴う病院の縮小など、新たな要因が生じていることから、今後の病院経営は大変厳しいい状況が続くものと認識している。
市立病院が地域の中核病院としての役割を果たすためには、収支均衡分も含め病院事業に対する繰出金は必要と考えている。
ふるたと応援・地域医療安定化基金については、寄付者の皆様から多数寄せられた、地域医療に対する応援の声に応えるとともに、市民の生命と健康を守り、市民が安心して医療を医療をうけることができる体制確保を最優先と考え、これまで活用してきたところであり、今後策定する「公立病院経営強化プラン」においても、同様の考えで対応を予定している。
※繰出基準や財源充当に対する考え方については、当初予算審査の中でも議論が必要。
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