持続可能な行財政運営推進のための財源対策に対する基本姿勢について
令和3年度根室市の一般会計総予算額は208億2千4百万円。
この予算規模を支える財源として約40億円(155事業 3,938,479千円)のふるさと応援寄付金関連基金が充当されています。一方で、税収は26億7千万円と30億円を大きく下回り、加えて、人口減少による地方交付税の減少も見込まれ、前年度に比べ、市税、地方交付税、併せて約5億円の減収で当初予算が編成されました。
この様に令和3年度の予算は、市税、地方交付税等の一般財源が落ち込む中、ふるさと応援寄附金に大きく依存する予算編成となっています。
まちづくりを進めるためには当然お金が必要になるわけですが、市が自由に活用できる財源、その柱は本来、市民税、固定資産税等市税収入であり、その不足分に対する必要額が地方交付税で措置されるわけですが、現状では、税収を遥かに上回るふるさと応援寄附金が重要な財源になっています。
この様な現状を含め一点目として。自主財源に対する現状認識と今後の見通しについて、市長の見解を伺います。
【市長答弁要旨】
一般財源の大宗をなす、市税及び地方交付税は、市中経済の低迷や人口減少等により多くを見込めない状況にあり、「ふるさと応援寄附金」という貴重な自主財源の活用により、各種施策の開を図っている
ふるさと応援寄附金」は、当市にとって貴重な自主財源ではあるものの、恒久的な財源ではないことから、寄附金を原資とした基金を設置し、計画的かつ有効的に活用している。
次に、ふるさと応援寄附金をベースとする、地方創生の推進等に関する基金管理について伺います。
令和2年度のふるさと応援寄附金は72万3千件、125億6千万円にもなりました。
平成20年度の制度創生から13年間の累計で、191万5千件、327億8千万円もの寄付額になりました。
根室市の様に人口減少や市中経済の悪化等々行政運営を取り巻く厳しい環境の自治体にとって、ふるさと応援寄附金は、行政運営・まちづくり推進の大変貴重な収入源となりますので、この制度の計画的かつ効果的な運用に努めることが重要です。
本年3月に地方創生の推進等に関する基金管理について、総合計画・総合戦略の実行性を確保することを目的として、積立目標額や期間の見直しを取りまとめ、令和3年度を初年度とする「新4カ年方針」を策定しておりますが、4ケ年間の最優先施策等計画推進に対する基本姿勢、並びに、ふるさと納税制度の今後の見通しを含め、この計画に掲げる基金管理に関する実行性について、市長の見解を伺います。
【市長答弁要旨】
ふるさと応援指定寄附金を原資として13の目的別基金を造成 、各基金の取扱いに関しては、「地方創生の推進等に関する基金の管理方針」を策定し、基金毎に中長期の積立て目標や活用計画を定めるなど、基金全体像の見える化も図りながら所要の財源確保とその進捗管理に努めている。
「新四か年方針」では、令和2年度末の基金残高約95億3千万円に対し、4年間で約5百億円、単年度あたり約125億円を積立てた上で、このうち約395億3千万円の活用を計画、次期総合計画の推進等に資する財源として約200億円の残高を確保する目標を設定。
※高い目標を掲げる一方で5年目以降はリスクも考慮しさらなる積増しを見込まない試算
※基金の計画的な積立により給食費無償化等の子育て支援や地域医療の安定化など、 総合計画に掲げる重点事業の実効性を確保する。
※一つひとつの政策を着実に実行しそして継続的に展開していくためには、予算単年度主義の補完として、ふるさと納税制度を最大限に活用した基金の造成とその間に努める。
3点目は、地方債活用に対する基本方針と地方債償還額現在高の推移について伺います。
令和3年度当初予算編成時に示された資料によると平成24年度以降順調に年度末元利償還額の圧縮が図られてきましたが、令和3年度以降増額に転じ令和7年度には平成26年度水準にまで戻る見込みとなっています。
令和3年度の公共事業関係予算は、一般会計ベースで33億1千万円(対前年17億4千万円110.9%増)であり、これら公共事業に伴う新たな起債発行が増額に転じた原因と考えますが、今後の公共事業の見通し、それに伴う地方債の活用に関する基本方針並び地方債償還額現在高の推移について、どの様な将来見通しを考えておられるのか、見解を伺いた。
【市長答弁要旨】
令和4年度に着工予定の新庁舎建設や、現施設の維持に多額の費用を要している廃棄物処理施設の建替えなど、今後、大型事業が見込んでいる。
単年度収支のほか、現代と将来にわたり財政負担の平準化を図る観点からそれらの財源として地方債を活用。
結果、今後、地方債残高及び元金償還開始を契機として償還額についても増加する。
地方債の活用にあたっては、健全な財政運営に基づく適切な発行を基本とし、交付税措置等による有利な地方債を選択することで実質的な市民負担の低減」を図る。
4点目は、当初予算編成時に示された、長期財政収支試算についてでありますが、歳出では、公共事業を含む投資的経費の比率が増加傾向にあり、また、病院事業会計に対する繰出金も抑えることが出来ず、繰出額は令和5年以降は19億円台になります。
一方、歳入では、税収増が見込めず、また、地方交付税の減額や公共施設整備等に伴う市債発行や多額のふるさと応援寄附金関連基金からの繰入を見込んでいますが、令和4年度以降、収支不足が発生し、その財源対策として、財政調整基金を活用するという試算になっています。
この様な中長期的な財政見通しをどの様に考えておられるのか、また、どの様な課題認識を持たれているのか、市長の見解を伺います。
【市長答弁要旨】
今後も、新庁舎建設や廃棄物処理施設の建替えを始めとした公共施設の老朽化対策など、大型事業が見込んでおり、重要課題を着実に進めるためには、財政の健全化はもとより、多くの財政需要とのバランスも考慮したうえで、事業化を図らなければならないと認識している。
自主財源の安定的確保や財政運営の効率化、更には、公債費の適正管理と「市の貯金」の確保などが重要。
「行財政改革プラン」を加速的かつ着実に実行し、計画的で持続可能な財政運営の確立に向け取り組む。
この質問の終わりは、行財政改革と持続可能な行財政運営についてであります。
私自身、現状の財政運営については、ふるさと応援寄附金頼みの大変厳しい状況と考えております。万一、ふるさと応援寄附金が計画想定を下回ったり、また、ふるさと納税制度そのものが見直しされたり、或いは、ふるさと納税が基準財政収入額の積算対象となったらならば、現在の計画は破綻します。
現行制度が維持され計画が推進されることを望みつつも、危機感をもった対策・対応も必要であり、ふるさと納税の見通しがたつ、今のうちに、持続可能な行財運営を目指した、更なる、行財政改革への取り組みが必要と考えます。
本年度は、第6次行財政改革の7年目になりますが、これまでの取り組みの効果を含め、厳しい財政状況の実態や人口減少が止まらない状況等を踏まえた、更なる改革への取り組みの必要性について、市長の見解を伺います。
【市長答弁要旨】
第6次行政改革は、社会構造の変化等に対応できる行政運営の実現を目指し、平成27年度から実行計画に基づき、具体的な取り組みを進めている。
令和2年度は、民間活力による教員住宅の建設及び管理運営を導入したほか、歳出構造の見直しなどにより約4億3千万円の財政的な効果があった。
引き続き、持続可能な行財政運営の確立を目指し着実に取り組む。
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